お昼は大島の相模川自然の村にある相模川清流の里のレストランでとりました。相模川自然の村は相模原市が整備を進めている公園で,相模川周辺の景観を保持しながら,市民が自然に親しめるような施設がつくられています。相模川清流の里はその中の宿泊施設で,確かに景色のいいところです。
お昼を食べた後,午後は相模原の工業というテーマに移り,まず東急建設の大深度地下空間施設を見学しました。
東急建設技術研究所は田名地区北部の工業団地(三菱重工やキャタピラ三菱の工場がある)にあって,まずそこで実験の概要を紹介するビデオを見せてもらったのですが,大深度地下空間施設そのものは地質関係があるのか,そこから3.5kmほど南の畑の中にありました。左の写真のテントのような施設がそれです。
施設の中に入ると写真のようなエレベーター(リフトと言ったほうがいいですね)がアニー・ローリーの歌を響かせながら,お出迎えにあがります。これで地下50mまで降りていきます。
地下に下りるたら,一瞬湿気を帯びたむっとする空気にちょっとびっくりしました。エレベーターを降りた広い空間にちょっとした庭園がこしらえてあります。もちろん,これも実験の1つですね。
もともとこの施設は,大都市空間の有効利用を進めるために地下50mの空間に都市を建設するのに必要なデータを集める実験施設として設置されました。このような地下空間の構築方法,地質の性質の把握などに加えて,こうした空間で生活する場合の快適さや健康への影響などについての実験も行われました。この空間での音響効果の実験のためにコンサートも開かれています。
実はすでに実験は終了していて,地下庭園は言ってみればその名残なのですね。
この施設の一番奥の穴には今,ワインがしまってあります。
この場所が実験施設に選ばれたのは,泥岩の堆積する相模川左岸の河岸段丘の地質が地下都市構想の対象である首都圏西部の地質に対応しているからだそうです。穴の中で直接手で触れることのできる泥岩層は緻密で地下水をよく含んでいます。
さて,地下都市構想(ジオトラポリス構想というのだそうです)が立案され,この施設が作られて実験が始まったのはバブル経済真っ只中のことでした。構想では2020年の実現をうたっているのですが,経済状況の変わってしまった今,このでの実験の成果がどの程度の現実のものになるのでしょうか。
ついでの話です。この実験施設のあるのが畑の中と言ったのですが,実は相模原市の市街地のはずれにあたるこのあたりには多くの産業廃棄物処理施設が設けられています。本当のところ,これもまた相模原の農業のかかえる問題点の1つなのです。処理施設の中に林立する焼却炉からはゴミを焼く煙が立ち上り,ダイオキシンをはじめとする有害物質への不安が募ります。
1999. 2. 3 野外研修委員会